【日記】Formula1 2022年シーズンの新車発表

みなさん、こんにちは。
涼枝です。

今日は少しずつ発表されつつある新シーズンF1の新車について語っていこうかと思います。
新シーズンは2014年から続いたハイブリッドPU時代(メルセデス一強時代)に終止符が打たれ、約40年ぶりのグランドエフェクトカーが復活します。
また、バジェットキャップ(予算制限)が導入されるなど、上位勢と下位勢の格差是正が図られています。

今日はその中の新車発表時に注目したい技術レギュレーションの改定等について、F1に詳しくない人向けに紹介していきたいと思います。
(とはいえっても専門用語多めですが……)

【概要】
① 18インチタイヤの導入
② 車体の後ろについたときのダウンフォース確保(≒グランドエフェクトカーの採用)
③ 10%バイオエタノール燃料の導入


今までのF1ではホイールサイズが小さく、ゴム部分が分厚い「13インチタイヤ」を採用していました。
しかしながら、この分厚い13インチタイヤは市販車とは全く違う構造をしていると言ってよく、市販車への技術転用を困難にしています。
そこで、市販車のタイヤに近い厚さの18インチタイヤに変更することで、F1タイヤ開発が市販車にフィードバックしやすいように変更されたわけです。
既にFormulaEやF2では導入されているタイヤであることから、ある程度の信頼性も得た上での導入になっています。
18インチ時代のF2上がりのドライバーであったミック、ニキータ、角田、周あたりは少し有利になるかもしれません。

また、ここ数十年、F1ではオーバーテイクが難しくなっていることが指摘されています。
近年のF1では前車との差が1秒以内で特定のストレートに入るとリアウイングのフラップが開閉可能となり、ウイングの空気抵抗を低減することで直線のスピードアップを図るDRS(Drag Reduction System)の導入などで対策を行ってきました。
しかし、それでもオーバーテイクシーンが少ないと思われているのが現状です。

その最大の要因は車が後部に発生させる乱気流と言われています。

空力に依存するF1カーにおいて前方に車がいる場合は、いない場合と比べてダウンフォースが45%も失われてしまうという結果がでており、大きな問題となっているのです。
そこでその乱気流が発生しにくく、またその乱気流の影響を受けにくいマシンにしよう、というのが今回の試みです。
今回のマシンでは乱気流を生み出す空力付加物(ウイングレット等)を少なくすることで乱気流の発生低減を図っています。
しかし、当たり前ですがこの空力付加物はただ無駄なものではなく、車体のダウンフォースを生み出すことに寄与しているものです。
無くしてしまえば、勿論ダウンフォースが不足することとなってしまいます。そこで、空力付加物に頼らないグランドエフェクトカーが導入されることになったのです。


グランドエフェクトカーとは、車体の下に空気を取り込むことでダウンフォースを発生させる。Ground Effect(地面効果)カーです。
新シーズンの車体は車体の底に空洞(トンネル)を左右に一つずつ設けて、ダウンフォースを発生させるための気流を作るようにしています。
ウイングによるダウンフォース生成を少なくし、グランドエフェクトによるダウンフォースを増加させること、これが新シーズンの車体のキモです。
FIAの技術部門によると、1車身前に車がある場合のダウンフォース量低下が45%から14%に削減されると言われています。

また、F1は欧州的な環境問題への対処から将来的にゼロエミッションを達成しようとしています。
今までもバイオエタノール入りの燃料が採用されてきましたが、比率が8%⇒10%に変更されます。効率的なバイオエタノールの開発も求められるようになりました。

この3つが車体における大きな変更点と言えるでしょう。
次からは細かい部分について、新車発表時にチェックできる部分を中心に解説していきます。

【車体の解説】
① フロントウイング

日本ではエロゲメーカーの名前として著名ですが、このフロントウイングも大きな変化が生まれています。
フラップは4枚と少なくなり、ノーズとフラップは直付けするように指示がされています。

チェックすべき点はノーズとフラップの接続です。
上記のショーカー(show car)では4枚分ノーズから接続されていますが、

アストンマーチンの新車AMR2や、マクラーレンの新車MCL36では2枚目のフラップまでが接続されています。

② サイドポッド

先述の通り、サイドポッド横にグランドエフェクト用のトンネルが用意され、多くの空力付加物が削除されています。
特に今まで空力付加物のガラパゴスともいえるバージボードが消失したのは大きな変更点です。
この辺りはだいたい黒のむき出しカーボンで形成されるため、新車発表では形状が見にくいのが非常に残念なのですが、ここの形状によるダウンフォースの発生量が勝負を分けるのは間違いないでしょう。

また、面白いのはこのサイドポッド以降タイヤまでのアプローチです。

アストンマーチンAMR2とマクラーレンMCL36の比較です。
マクラーレンの画像左側に重ねておきましたがアストンマーチンAMR2の方が明らかに後方が太めの仕様になっています。
従来の空力コンセプトはサイドポッド後方は鋭く絞り込む方が空力的に有利(そのため後方のメカを小型化等する)とされていましたが、AMR2はこれとは全く違うアプローチをとってきています。

 


というのも、上からみると幅広ですが、真ん中(赤色部分)は深く抉られている形状です。
恐らく矢印のように気流を流し、下のトンネルを通る気流と上側のサイドポッド下の気流の二つを後方に流してダウンフォースを確保するという狙いと思われます。
これが功を奏すか否かは今シーズンのアストンマーチンの見どころと言えるでしょう。

 

③ リアウイング

リアウイングもフロントウイング同様一体化が進められ、フラップや空力付加物の削減が図られています。
大きな変更点はディフューザーです。ここも空力付加物が非常に多く、様々な形状でダウンフォースを生み出そうという努力がなされていました。
しかし、グランドエフェクトの導入、そして何より後方の乱気流を削減するため、シンプルな形状に変更されました。

逆に追加された部分はビームウイングです。ディフューザーから出る乱気流を整流するためのウイングが追加されました。
これもかつてあった技術の復活なので、ある程度の効果は実証されているのでしょう。

 

以上です。
 
まだ新車発表は序盤ですが上記の点から新車発表を見てみると、もっと面白くなるかもしれません。
久しぶりのレギュレーション大改定、私はアストンマーチンのような面白い空力コンセプトの車が出てくることを切に期待しております!
ではでは。

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